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開発秘話

Vol.4

曲面ガラスインサートインモールド開発秘話

オンリーワン技術の粋を集めた世界初のビッグプロジェクト

世界最高峰のセキュリティレベル、世界中のオンリーワン技術の粋を集めたスマートフォンのビッグプロジェクト
世界初のガラスインモールドを生み出した吉田だからこそ実現できた曲面ガラスインサートインモールド
1台160万円のスマートフォン
2014年11月、設計グループの会田は決断を迫られていた。果たして、できるのか、できないのか。
はじめは、耳にしたことのない名前のイスラエルの会社が持ち込んだ話を半信半疑で聞いていたのだが、聞けば聞くほど驚かされる、スマートフォンのビッグプロジェクト。ソフトは世界最高峰のセキュリティレベル、ハードは 世界中のオンリーワン技術を持ったメーカーの“いいとこ取り”。価格はなんと!1台15,000ドルだという。 最大の難点は、金型の中にインサートするガラスの両端が湾曲した曲面ガラスであるということ。
平面のガラスでさえ、金型の中で割れてしまうというのに、曲がったガラスをどのようにして金型の中で一体成形させるのか?
それまで、ガラスインサートインモールド製品2機種を手掛けてきた会田にとっては、技術者魂を揺さぶられるような、難易度の高いスマートフォンの設計仕様であった。
挑戦したい。だが、失敗するかもしれない・・・。その時、上司の井手下が力強い声を発した「できます」。
誰も挑んだことのない技術に挑戦する、それこそが私たちの技術者魂
「世界で初めてガラスインサートインモールドに成功した私たちには、既に2機種の実績があります。その中で培ったノウハウをもとに、たとえ曲面ガラスであっても、必ず成功させてみせます。」
スマートフォンに使用される強化ガラスは、かなり高精度のカッティングマシンで裁断されるが、それでも長さや厚みの寸法に僅少なバラつきがあり、 平面のガラスでさえ、金型の中で割れてしまうことがある。
曲面ガラスは、カーブの微妙な絞り具合によって寸法のバラつきがさらに大きくなり、割れてしまうリスクは平面ガラスの数倍に上ることが予測される。
しかも、強化ガラスは1枚数千円もする高価なものだ。不良を低減しなければ、採算が合わないどころか、とてつもない損失を被る仕事になりかねない。
だが、井手下には自信があった。数ヶ月前に、平面のガラスインサートインモールド製品の生産立会いで工場を訪れていた井手下には、あるヒントが浮かんでいたのだ。
そのヒントは、彼が若い頃、化粧品容器の設計を任されていた時に培ったノウハウの中にあった。(あの金型構造で挑めば、曲面のガラスだってきっと割れずに実現できるはず・・・)
携わってきた者にしか、味わうことのできない達成感
2016年5月31日、プロジェクトリーダーとしてチームを牽引してきた中山は、“SOLARIN”と名付けられた新しいスマートフォンの発表会に出席するため、ロンドンを訪れていた。
ここまでの道のりは決して平坦なものではなかった。井手下が考案した画期的な金型の新機構によって、曲面ガラスの割れは最小限に留めることができたものの、 1ミリにも満たない狭いプラスチックベゼルのインモールド部分に苦労を重ねたほか、海外から調達する曲面ガラスのハンドリングや、他パーツを生産するメーカーとの調整にも営業マンとして散々悩まされた。眩しいフラッシュの中、著名なハリウッドスターが “SOLARIN” を高々と掲げるシーンを見つめる中山の胸に、新製品の開発に携わってきた者にしか味わうことのできない達成感がゆっくりと広がっていった。
日本国内でプラスチック成形を続けていく以上、今後もさらに難しい技術へチャレンジしていかなければならない。
しかし、達成した時の喜びは何ものにも代えられない。この喜びを、次は若い社員たちにも味わわせてあげたい。
と、中山は心から思った。
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